原状回復は元どおりにすることではない

退去のときに「原状回復」と言われると、借りたときの状態にそっくり戻すことだと思ってしまいがちです。ガイドラインの考え方はそうではありません。

賃借人が負担するのは、故意や過失、あるいは通常の使い方を超える使い方によって生じた傷みを直す部分です。普通に住んでいて自然についていく傷みは、ここに含まれません。

経年変化と通常損耗は賃料に含まれている

ガイドラインでは、いわゆる経年変化と、通常の使用によって生じた損耗の修繕費用は、賃料に含まれるものとして整理されています。

つまり、毎月の家賃を払っている時点で、その分の費用はすでに負担しているという考え方です。日照による壁紙の変色や、家具を置いていた場所のへこみなどがこれにあたります。

一方で、掃除をしないまま放置したことによる汚れや、ペットがつけた傷、タバコのヤニなどは、通常の使用を超えるものとして借主の負担になりやすい項目です。

3回にわたって改訂されてきた

このガイドラインは1998年3月に公表されました。その後、2004年2月に新しい裁判例を加えるなどの改訂が行われ、2011年8月に再改訂版が公表されています。

再改訂では、トラブルを未然に防ぐための別表が追加され、残存価値割合が変更され、Q&Aと裁判事例が追加されました。残存価値の変更は、2007年の税制改正で耐用年数を過ぎた資産を1円まで償却できるようになったことへの対応です。

いま参照されているのは、この2011年8月の再改訂版です。

金額に納得できないとき

敷金の精算書を見て金額に納得できない場合、その内訳がガイドラインの考え方に沿っているかを確認するのが出発点になります。

どの項目が経年変化にあたるか、どこからが通常の使用を超えるかは、実際の状態によって判断が分かれます。自分だけで判断せず、精算書と契約書を持って消費生活センターに相談すると、話が整理しやすくなります。