誰に対する賠償の保険か

名前が長くて分かりにくい保険ですが、備えている相手は貸主です。

借りている部屋を火事や水漏れで壊してしまったとき、借主には部屋を元に戻して返す義務があります。その費用を自分で全部払うのは現実的ではないため、保険で備えます。

隣の部屋の家財や、通行人への賠償は含まれません。それらは個人賠償責任保険など別の補償になります。

なぜ賃貸では加入が条件になるのか

ここに1899年にできた法律が関わっています。

失火ノ責任ニ関スル法律は、条文がたった一文の法律です。失火の場合には民法709条の不法行為責任を適用しない、ただし失火者に重大な過失があるときはこの限りではない、という内容になっています。

つまり、うっかりで火を出して隣の家を燃やしても、重大な過失がなければ賠償責任を負いません。日本の家屋が密集していて、失火の責任を全部負わせると酷だという事情から作られたものです。

ところが、借りている部屋は事情が違います。隣人に対する責任は免れても、貸主との契約上の義務は残ります。部屋を借りた以上、それを返す義務があるからです。

この差があるために、貸主から見ると、借主が保険に入っていないと部屋の修復費用を回収できないおそれが出てきます。賃貸で火災保険への加入が事実上の条件になっているのは、この理由です。

見直すときに見るところ

賃貸の火災保険は2年契約が多く、更新のときが見直しどきです。

  • 家財の補償額が実態と合っているか(ひとり暮らしで数百万円の設定になっていないか)
  • 借家人賠償責任の補償額が、契約で求められている水準を満たしているか
  • 個人賠償責任の特約が付いているか、他の保険と重複していないか

ただし、借家人賠償責任の補償そのものを外す方向では考えないでください。ここは貸主との契約で求められている部分です。削るなら家財の補償額や、不要な特約の方です。