賃貸の更新案内と一緒に、火災保険料が上がっていて驚いたことはありませんか。
火災保険は近年、改定のたびに値上げが続いていて、2026年10月にも大きな改定があるという話を耳にした方もいるはずです。
ただ、値上げの背景にある「参考純率」という仕組みを知らないまま、噂の数字だけが先に伝わっているケースも少なくありません。
この記事では、火災保険料がどう決まるのかという基本の仕組みと、確定している事実とまだ観測段階の話を分けて整理します。
賃貸で今からできる見直しの進め方もあわせて確認してください。
火災保険が値上がりを繰り返す理由
火災保険は、2019年以降だけでも複数回の料率改定を経て、値上がりを繰り返してきました。
背景としてよく挙げられるのが、自然災害の増加や、円安・資材高による建築コストの上昇です。
台風や豪雨による保険金の支払いが増えると、保険会社が将来の支払いに備えて積み立てる金額も増やす必要が出てきます。
さらに、建物を建て直す際の資材費や人件費が上がると、同じ被害でも支払う保険金の額そのものが大きくなります。
こうした要因が重なり、保険会社が受け取る保険料の水準を見直す動きが続いているというのが、値上げが繰り返されている大きな流れです。
一度の改定で契約が終わるわけではなく、数年おきに見直しが重なってきたというのがこれまでの経緯です。
そのため、「前回の値上げで対応したから当分は大丈夫」とは限らず、次の更新のタイミングでまた保険料が変わっている可能性がある点は、あらかじめ知っておいたほうがよいポイントです。
参考純率の仕組みと算出機構の役割
火災保険料がどう決まるのかを理解するには、「損害保険料率算出機構」という団体の役割を知っておくと分かりやすくなります。
この機構は、損害保険業の健全な発達と契約者の利益保護を目的に設立された、日本で唯一の料率算出団体です。
各保険会社から集めた大量のデータをもとに、保険金の支払いに充てる部分の料率である「参考純率」を算出しています。
保険料は、この参考純率と、保険会社の運営コストにあたる「付加保険料率」を合わせて計算される仕組みです。
参考純率の部分は機構が示した数字を基礎にできますが、付加保険料率の部分は各保険会社が独自に決めています。
つまり、参考純率が改定されたからといって、すべての保険会社の保険料が同じ幅で、同じタイミングで上がるとは限らないということです。
実際の反映時期や上げ幅は、契約している保険会社や商品によって差が出ます。
確定した値上げとまだ観測段階の値上げ
火災保険の値上げを考えるときは、確定している事実と、まだ観測段階の話を分けて見る必要があります。
確定している直近の大きな改定は、2023年6月に金融庁へ届け出られた参考純率の引き上げで、上げ幅は全国平均で13.0%でした。
この改定は、多くの保険会社で2024年10月以降の契約から順次反映されています。
一方で、2026年10月にも10〜15%程度の値上げがあるという話が業界内の観測として伝えられていますが、これは記事作成時点で機構による正式な届出内容が確定情報として公表されたものではありません。
観測と確定情報を混同してしまうと、実際より大きな不安を感じたり、逆に見直しのタイミングを逃したりすることにつながります。
「値上げがあるらしい」という情報に接したときは、その情報が確定した届出なのか、業界内の見通しにとどまるものなのかを区別して受け止めることをおすすめします。
賃貸でも火災保険が関係する理由
火災保険は持ち家だけの話だと思われがちですが、賃貸で暮らしている場合も無関係ではありません。
賃貸契約の多くでは、入居時に家財保険と借家人賠償責任保険をセットにした火災保険への加入が条件になっています。
家財保険は、火事や水漏れなどで自分の家具や家電が被害を受けたときの補償です。
借家人賠償責任保険は、借りている部屋を誤って傷つけてしまった場合に、大家さんへの賠償責任をカバーするための補償にあたります。
これらの保険料も、参考純率の改定の影響を受ける商品に含まれます。
契約更新の案内に記載されている保険料が、以前と比べて上がっていることに気づいたら、それは値上げの流れが賃貸向けの商品にも及んでいるサインかもしれません。
借家人賠償責任保険の補償額は、部屋の広さに応じて目安が示されることがあります。
一般的には、延床面積50平方メートル未満で1000万円程度、50平方メートル以上で2000万円程度が目安として案内されるケースが多いといわれています。
ただし、必要な補償額は部屋の構造や契約条件によって変わるため、実際の金額は契約している保険会社や管理会社の案内をもとに確認してください。
1分でできる保険料払いすぎ度診断で、今の負担感を確認してみるのもひとつの方法です。
更新のタイミングで確認したいポイント
次に契約を更新するタイミングで、確認しておきたいポイントを整理します。
1つ目は、現在の保険証券に記載されている補償内容と保険料です。
家財保険の補償額や借家人賠償責任保険の限度額が、今の暮らしに見合っているかを見直す機会になります。
2つ目は、更新時の保険料が前回契約時からどれだけ変わっているかです。
変動が大きい場合は、その理由が参考純率の改定によるものなのか、契約内容の変更によるものなのかを保険会社に確認すると状況が整理しやすくなります。
3つ目は、賃貸借契約の更新と火災保険の契約期間がずれていないかです。
火災保険は2年契約が多く、賃貸借契約の更新時期とタイミングが重なることも、ずれることもあります。
どちらの更新が先に来るのかを把握しておくと、見直しの計画を立てやすくなります。
4つ目は、家財保険の補償額が今の持ち物の量に見合っているかです。
一人暮らしを始めたころに設定した補償額のまま、家具や家電が増えた後も見直していないというケースは珍しくありません。
補償額が実際の家財の価値と大きくかけ離れていないか、更新のタイミングで一度確認しておくと、いざというときの安心感につながります。
契約内容の解釈や解約のタイミングについて迷う場合は、自己判断で進めず、契約している保険会社や代理店、必要に応じて専門家に相談しながら確認することをおすすめします。
まとめ
火災保険料は、損害保険料率算出機構が算出する参考純率と、各保険会社が独自に決める付加保険料率を合わせて決まる仕組みです。
確定している直近の改定は2023年6月届出の参考純率+13.0%で、2024年10月以降順次反映されています。
2026年10月の値上げは記事作成時点でまだ業界内の観測段階であり、確定情報とは分けて受け止める必要があります。
賃貸でも家財保険や借家人賠償責任保険という形で火災保険に加入していることが多いため、契約更新のタイミングで保険証券の中身と保険料を一度確認しておくと安心です。