何のための住宅か
特定優良賃貸住宅は、特優賃と略して呼ばれる賃貸住宅です。
根拠になる法律は、1993年に作られた特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律です。
法律の目的は、中堅所得者などが住むための、居住環境の良い賃貸住宅の供給を増やすことです。
公営住宅は所得の低い人向けですが、その基準を少し超える層には、質の良い賃貸住宅が足りていませんでした。
そこで、民間の土地所有者などが建てる賃貸住宅を都道府県知事などが認定し、建設費や家賃の減額に補助を出す形で供給を促したのがこの制度です。
当時の建設省の通知では、各戸の床面積は50平方メートル以上125平方メートル以下、建て方は共同建てか長屋建てとされていました。
つまり、単身向けのワンルームではなく、家族で住むことを前提にした住宅です。
家賃補助のしくみ
特優賃の家賃補助は、入居者にお金が渡る形ではありません。
法律の第15条では、認定を受けた事業者が入居者の居住の安定のために家賃を減額する場合に、自治体がその減額に要する費用の一部を補助できると定めています。
さらに国は、自治体がその補助をする場合に、予算の範囲内で費用の一部を補助します。
入居者から見ると、次のような流れになります。
- 住宅ごとに、本来の家賃(契約家賃)が決まっている
- 入居者の所得に応じて減額後の家賃(入居者負担額)が決まる
- 入居者は負担額を払い、差額は事業者が自治体と国の補助で補う
本来の家賃は、近くの同じような住宅の家賃と均衡を失しない額と法律で定められています。
相場より高い家賃が設定されているわけではなく、そこから所得に応じて負担が軽くなるのが特徴です。
減額の幅と続く期間は、自治体の要綱と住宅ごとの条件で違います。
募集案内に本来の家賃と入居者負担額の両方が書かれているので、必ず両方を見てください。
所得要件の考え方
入居者資格は、法律の第3条第4号に書かれています。
基本は、所得が中位にある人で、国土交通省令が定める基準に該当し、自分で住むための住宅を必要としていて、同居する親族がいることです。
事実婚の相手や婚約者も親族に含まれます。
具体的な所得の範囲は、国土交通省令をもとに都道府県知事が地域の実情にあわせて定めます。
そのため、上限と下限の金額は都道府県ごとに違います。
家族の人数によって控除があるのも一般的な形です。
もうひとつ知っておきたいのは、要件は入居のときに見るものだという点です。
当時の建設省の通知では、入居後に所得が上がって要件に合わなくなっても、住み続けることに支障はないとされています。
ただし、所得に応じて負担額が変わる仕組みなので、所得が上がると入居者負担額も上がる場合があります。
探すときの手順と確認項目
特優賃は認定と募集を自治体側が担うため、一般の賃貸サイトだけでは見つけにくい住宅です。
次の順で探すと確実です。
- 住みたい都道府県か市の住宅担当課のサイトで、特定優良賃貸住宅の案内があるかを見る
- 地方住宅供給公社が管理している場合は、公社の募集ページを見る
- 所得基準と家族構成の要件を、自分の世帯にあてはめて計算する
- 募集案内で、本来の家賃、入居者負担額、減額が続く期間を確認する
- 敷金や更新の条件など、通常の賃貸と同じ項目も確認する
所得の計算方法は自治体ごとに決まりがあるので、自己判断せず窓口で確認してください。
新規の募集が少ない地域もあります。
その場合は、国土交通省が案内している地域優良賃貸住宅や、UR賃貸住宅など、ほかの公的な賃貸も選択肢に入れると探しやすくなります。
契約に関わる細かい条件は、管理している公社や管理会社に確認するのが確実です。
