何のための調査か

住宅市場動向調査は、国土交通省が毎年行っている調査です。

住み替えや建て替え、リフォームをした世帯に、前後の住まいの様子や、かかった費用、資金の出どころなどを聞いています。

目的は住宅政策の基礎資料を集めることで、平成13年度から続いていて、令和7年度で25回目になりました。

対象は注文住宅、分譲住宅、既存(中古)住宅、民間賃貸住宅、リフォーム住宅の5種類です。

このうち賃貸暮らしの人に関係するのが、民間賃貸住宅に入居した世帯の結果です。

民間賃貸住宅とは、個人や民間企業が貸す目的で建てた住宅のことで、社宅や公的住宅、学生アパートは除かれています。

民間賃貸住宅の数字はどこまで使えるか

先に注意点を書いておきます。

民間賃貸住宅の調査は、三大都市圏だけを対象にした訪問調査です。

令和7年度は600世帯に配布して590世帯から回収しています。

つまり、ここに出てくる家賃や礼金の割合は、首都圏、中京圏、近畿圏で住み替えた世帯の姿です。

全国平均でもなければ、自分の住む街の相場でもありません。

それでも、敷金や礼金が何か月分だったか、そもそもあったかなかったかの分布が毎年同じ形で公表されている調査は多くありません。

自分の契約条件が世の中の真ん中あたりなのか、外れているのかを知るための物差しとして使うのが向いています。

令和7年度の結果で分かること

令和8年7月に公表された令和7年度の報告書から、民間賃貸住宅の主な数字を挙げます。

入居した住宅の月額家賃は平均83,381円、中央値は74,000円でした。

共益費の平均は月額4,837円です。

敷金または保証金があった世帯は51.9%で、月数は1か月ちょうどが64.4%と最多でした。

礼金があった世帯は43.1%、なかった世帯は45.8%です。

礼金の月数は1か月ちょうどが73.4%でした。

仲介手数料があった世帯は48.0%で、こちらも1か月ちょうどが69.7%と最多です。

更新手数料があった世帯は44.4%ですが、この項目は仲介業者に払う事務手数料だけを指していて、大家に払う更新料は含まれていません。

礼金や仲介手数料とは別に、その他費用があった世帯は15.6%で、平均は29,977円でした。

契約時に困った経験としては、敷金・礼金などの金銭負担を挙げた人が48.0%で最も多くなっています。

契約条件を見比べるときの手順

物件の申し込み前に、次の順で見ていくと整理しやすくなります。

  1. 見積書の敷金、礼金、仲介手数料がそれぞれ家賃の何か月分かを書き出す
  2. 調査の分布と見比べ、どれが1か月を超えているかを確認する
  3. 超えている項目があれば、仲介会社にその理由を聞く
  4. 更新料は調査に載っていないので、契約書の更新の条項を別に読む

礼金や仲介手数料は、物件や地域の慣習で決まっている部分が大きく、交渉できるかどうかは場合によります。

金額の妥当性や契約の内容については、管理会社や仲介会社に確認し、必要なら専門家にも相談してください。