何のための仕組みか

少額短期保険は、保険業法の中に置かれた仕組みで、保険金額が少額で保険期間が短い保険だけを扱う事業のことです。

保険業法第2条第17項は、保険期間が2年以内、保険金額が1,000万円を超えない範囲で政令が定める額以下の保険のみを引き受ける事業、と定義しています。

この事業を行う会社が少額短期保険業者です。

制度ができたのは2006年4月1日です。

それまで根拠となる法律がないまま共済を行っていた団体を保険業法の規制に組み入れ、契約者を守る仕組みを整える目的で導入されました。

保険会社のような免許制ではなく、本店所在地を管轄する財務局長の登録を受ける登録制で、監督は金融庁と各財務局が行います。

上限の数字はどこで決まっているか

保険期間と保険金額の上限は、保険業法施行令に書かれています。

保険期間は、生命保険や医療保険が1年、損害保険が2年です(施行令第1条の5)。

保険金額は、保険の種類ごとに上限が決まっていて、損害保険は被保険者1人につき1,000万円です(施行令第1条の6)。

死亡保険は300万円、医療保険は80万円といったように種類ごとに額が異なり、同じ人について複数の保険を引き受ける場合の合計も1,000万円が上限とされています。

賃貸の家財保険は損害保険にあたるので、この枠の中で保険期間は最長2年、保険金額は最大1,000万円という設計になります。

保険会社の火災保険との違い

少額短期保険業者が売る保険と、保険会社が売る保険では、契約者を守る仕組みが異なります。

大きな違いは、少額短期保険が保険契約者保護機構の対象外であることです。

保険契約者保護機構は、保険会社が破綻したときに契約者を守るための制度ですが、少額短期保険業者はここに加入していません。

その代わりに、保険業法第272条の5で、契約者保護のために一定額の金銭を供託所に供託することが義務づけられています。

金融庁の説明では、業務開始時に1,000万円を供託し、その後は事業規模に応じて積み増す仕組みとされています。

どちらの保険が合うかは、補償の中身と保険料、保険期間で判断することになります。

保険の種類だけで優劣が決まるものではないので、契約前に重要事項説明書を読み、疑問があれば保険会社や専門家に確認してください。

賃貸の家財保険で出会う場面

賃貸の契約では、不動産会社や管理会社から家財保険への加入を案内されることがあります。

金融庁が公開している少額短期保険業者の一覧には、社名に火災や賃貸といった言葉が入った会社が含まれていて、この分野で少額短期保険が使われていることが分かります。

家財保険には、自分の家財の補償のほかに、部屋に損害を与えたときに貸主へ賠償する借家人賠償責任の補償が付いていることが多く、賃貸契約で加入が条件になっている場合もあります。

保険期間が最長2年なので、賃貸の契約期間と合わせて更新していく形が一般的です。

加入が契約の条件かどうか、指定の保険に限られるのかは、契約書の記載と管理会社への確認で分かります。

保険証券が来たら見るところ

保険証券や重要事項説明書が届いたら、次の順で見てみてください。

  1. 引受会社の名前と登録番号(○○財務局長(少額短期保険)第○号の形なら少額短期保険)
  2. 保険期間の開始日と終了日(最長2年。賃貸の更新時期とずれていないか)
  3. 家財の保険金額と、借家人賠償責任の補償額
  4. 保険料の支払い方法と、更新時の手続き

引受会社が登録業者かどうかは、金融庁の少額短期保険業者一覧で確認できます。

補償の内容や金額が自分の暮らしに合っているかは、保険会社や専門家に相談しながら決めてください。