2026年の家賃上昇は、新築マンションの価格から始まっている
更新の案内に「次回から家賃を改定します」と書かれていて、なぜ今なのか分からないまま署名しそうになる。
2026年はそういう場面が増えています。
この記事では、2026年に家賃が上がっている流れを、建築費と新築マンションの価格から賃貸の家賃までひとつながりで追いかけます。
読み終えたときに、自分の家賃が上がりそうな理由を自分の言葉で説明できて、値上げの通知が来たときにどこから確認すればいいかが決まっている状態を目指します。
先に結論を書きます。
今の家賃上昇は、借りている人の収入が増えたから起きているのではありません。
建てるコストと買うコストが上がった結果が、時間差で賃貸に回ってきています。
理由が分かっていれば、通知が来たときに何を確認すべきかも変わってきます。
建築費と地価が上がると、なぜ賃貸の家賃まで上がるのか
流れは大きく4段階に分けて理解すると整理しやすくなります。
1. 建てるコストが上がる
円安で輸入資材の価格が上がり、建設業の人手不足で人件費も上がっています。
そこに都市部の地価上昇が乗ります。
同じ建物を建てるのに、数年前より多くのお金が必要になっている状態です。
2. 新築分譲マンションの価格が上がる
建築費と土地代が上がれば、分譲価格に反映されます。
2026年は地価上昇と円安による建築費高騰で新築分譲マンションの価格が高騰していると解説されています。
3. 買う予定だった人が、買わずに残る
価格が上がると、購入を検討していた層の一部が「もう少し様子を見よう」と判断します。
その人たちは中古を探すか、今の賃貸に住み続けます。
4. 賃貸の需要が厚くなり、募集賃料が上がる
借りたい人が減らない、あるいは増えている状態では、貸主側に家賃を下げる理由がありません。
募集を出せば埋まるなら、次の募集で少し上げてみるという判断が起きやすくなります。
ここに貸主側の事情も重なります。
修繕費、管理委託費、建物にかける保険料も上がっています。
持ち続けるコストが上がれば、家賃に反映されやすくなるという構造です。
この流れで大事なのは、上がる順番です。 先に上がるのは、今まさに募集されている部屋の賃料です。すでに住んでいる人のところには、更新のタイミングになって初めて届きます。つまり、周辺の募集賃料が上がってから自分の更新が来るまでには、数か月から2年のタイムラグがあります。今回の更新で値上げを提示されたなら、その根拠になっている募集賃料はもっと前から動いていた、と考えるのが自然です。
数字で見る2026年の上昇幅。全国平均ではなく自分のエリアで見る
2026年の東京23区では、家賃相場が前年比で3〜5%程度上昇していると紹介されています。
都心の一部の区では10%を超える上昇率が挙げられている例もあります。
一方で、築年数が古く駅から離れた物件では空室が長引いているという指摘もあり、全国一律に上がっているわけではありません。
まず、自分の家賃を率ではなく金額に直します。
- 家賃9万円で5%の値上げ → 月4,500円、年54,000円
- 2年契約なら、次の更新までの差額は108,000円
- 家賃6万円で3%の値上げ → 月1,800円、年21,600円
契約更新時の値上げ幅は従前家賃の3〜5%程度が目安として紹介されることが多く、実額では月1,000円から3,000円の幅に収まるケースが多いという整理も見られます。
同じ3%でも、家賃6万円と家賃15万円では手元から出ていく金額がまったく違います。
率のニュースを見て慌てるより、自分の金額に直したほうが判断は速くなります。
そのうえで、自分のエリアの相場は自分で確かめます。
手順はシンプルです。
- 同じ駅、同じ間取り、近い築年数の募集中の部屋を10件ほど並べる
- 家賃と共益費を足した金額で見る(共益費込みで比べないと差が消えます)
- その真ん中あたりの金額と、自分が今払っている金額を比べる
自分の家賃が周辺の募集賃料より明らかに低ければ、値上げの提示には一定の根拠があることになります。
逆に、すでに周辺と同じか高いのに値上げを提示されているなら、その点を確認する材料になります。
今の自分の家賃が相場からどれくらい離れているかは、1分でできる家賃払いすぎ度診断でも目安をつかめます。
家賃の値上げ通知が来たら、まず確認する3つのこと
通知を受け取った直後に返事をする必要はありません。
先に確認するのは次の3点です。
1つめは、契約書の賃料改定に関する条項です。 改定について何と書かれているか、更新時に限られているのか、通知の期限は決められているかを読みます。ここに書かれていることが出発点になります。
2つめは、周辺の募集賃料です。 前の章の手順で調べた金額が、そのまま話し合いの材料になります。
3つめは、更新日までの残り期間です。 期間に余裕があれば、住み替えを含めて選択肢を並べられます。期限が迫っているほど、選べる手は少なくなります。
法律の一般論として、賃料の改定は貸主が通知しただけで自動的に確定するものではなく、契約の定めと当事者の話し合いが関わるとされています。
ただし、実際にどう扱われるかは契約内容と個別の事情によって変わります。
ここは自己判断で結論を出さず、まず管理会社に値上げの根拠を確認し、話が折り合わないときは専門家への相談を検討してください。
確認するときの聞き方も、対立ではなく事実確認の形にしたほうが話は進みます。
今回の改定の根拠になっている周辺相場を教えてほしい、という聞き方であれば、貸主側も答えやすくなります。
打てる手は3つ。残って交渉する、残って別を下げる、動く
構造が分かると、選択肢は3つに整理できます。
A 残って、家賃について相談する
周辺の募集賃料と自分の家賃を並べて、改定幅について相談します。
長く住んでいること、家賃の滞納がないことは、貸主にとって次の入居者を探す手間がないという意味を持ちます。
空室が1か月続けば家賃9万円の部屋では9万円の家賃収入が入らず、そこに募集の広告料が乗ります。
値上げ分の年54,000円と、その空室リスクは同じ天秤に乗っているわけです。
とはいえ結果は物件の需給によるので、下がることを前提に予定を立てないほうが安全です。
値上げ幅の圧縮や、改定時期を次の更新まで待ってもらう相談から入る形もあります。
B 残って、家賃以外の固定費を見直す
家賃そのものが動かなくても、更新のタイミングでは家賃保証会社の保証料、火災保険、通信費が同時に見直せる状態になります。
たとえば月4,500円の値上げを提示されたとき、通信費と火災保険の見直しでその一部を吸収できるケースがあります。
契約上の条件は物件ごとに違うため、火災保険を自分で選べるかどうかは契約書と管理会社への確認が必要です。
C 住み替える
値上げ差額と引っ越し費用を並べて考えます。
引っ越しの初期費用は家賃の4〜5か月分程度が目安とされ、内訳は敷金、礼金、仲介手数料、前家賃、保証料や火災保険料などです。
家賃9万円なら36万円から45万円程度に、引っ越し業者への支払いが加わります。
先ほどの例で、値上げ差額は年54,000円でした。
これだけを理由に引っ越すと、費用を取り戻すのに何年もかかる計算になります。
住み替えが選択肢に入るのは、新しい部屋の家賃自体が下がるか、同じ家賃で広さや駅からの距離といった条件が上がる場合です。
差額の穴埋めではなく、次の2年の総額で比べてください。
なお、仲介手数料は宅地建物取引業法で、貸主と借主から受け取る合計が家賃1.1か月分(税込)までと上限が決められています。
初期費用の内訳のうち、法律で枠が決まっているものと、物件ごとの設定によるものを分けて見ると、どこを相談できるかが見えてきます。
上がる局面では、月額ではなく2年の総額で見る
家賃が上がる局面でいちばん効くのは、毎月の金額ではなく、次の更新までの総額を一度書き出しておくことです。
家賃9万円、共益費5,000円の部屋で2年分を並べると、次のようになります。
- 家賃と共益費 95,000円 × 24か月 = 2,280,000円
- 更新料(家賃1か月分の場合) 90,000円
- 更新事務手数料 1万円前後を設定している物件の場合 10,000円
- 家賃保証会社の保証料(年1万円の更新型の場合) 20,000円
- 火災保険(2年契約) 15,000円前後のケース
合計するとおよそ241万円です。
この中で、月4,500円の値上げは2年で108,000円にあたります。
総額の4%程度と分かれば、慌てて引っ越しを決める話なのか、それとも他の項目と合わせて調整する話なのかが見えてきます。
更新料や事務手数料の有無、保証料の払い方は地域と物件で大きく違います。
金額はあくまで一例なので、自分の契約書の数字を入れて計算してみてください。
家賃が上がる流れは、個人の努力で止められるものではありません。
ただ、上がる理由と自分の総額を先につかんでおけば、通知が来てから動くのではなく、更新の前に手を打てるようになります。
次の更新日をカレンダーに入れて、その3か月前に見直しの時間を取る。
そこから始めるだけでも、選べる手の数は変わってきます。