火災保険の水災料率が市区町村ごとに変わった理由
賃貸の火災保険を更新したとき、以前より保険料が上がっていて驚いた経験はありませんか。
火災保険はここ数年、改定のたびに値上げが続いています。
その中でも見落とされやすいのが、水災に関する保険料が住んでいる市区町村によって差がつく仕組みに変わったことです。
- 全国一律の水準
- 市区町村ごとに差がつく
- 1等地から5等地の5区分
住んでいる場所で上がり方が変わる
この記事では、水災料率の5区分の仕組みと、賃貸の火災保険にどう関わるのかを整理します。
自分の等地を確認する方法や、更新のタイミングで見ておきたいポイントもあわせて紹介します。
火災保険の値上げというと、建物全体の水準が一律に上がるイメージを持っている方も多いはずです。
実際には、住んでいる場所によって上がり方に差が出る仕組みに変わってきているという点を知っておくと、更新案内を受け取ったときに落ち着いて内容を確認しやすくなります。
水災料率が1等地から5等地の5区分に分かれた仕組み
水災料率の細分化のもとになっているのは、損害保険料率算出機構が2023年6月に金融庁へ届け出た参考純率の改定です。
この改定には、参考純率全体を引き上げる内容に加えて、建物についての水災部分の料率を地域のリスクに応じて分ける内容が含まれていました。
細分化の単位は都道府県ではなく、建物が所在する市区町村ごとです。
これまで水災料率は全国一律の水準でしたが、改定後は市区町村ごとのリスクに応じて1等地から5等地までの5段階に分類される仕組みに変わりました。
具体的には、もっともリスクが低いとされる1等地は、これまでの全国一律の水準と比べて約6%低くなります。
反対に、もっともリスクが高いとされる5等地は、全国一律の水準より約9%高くなります。
もっとも安い1等地と、もっとも高い5等地を比べると、較差は約1.2倍という整理です。
1等地と5等地の較差は約1.2倍
等地が低いからといって水災が起きないという意味ではなく、あくまで相対的なリスクの高さを示す区分である点には注意が必要です。
なお、この細分化の対象になっているのは、住宅物件のうち建物についての水災料率です。
家財についても水災リスクに応じて保険料が変わる商品はありますが、扱いは保険会社によって異なるとされています。
賃貸の火災保険にも関係する理由
水災料率の細分化は建物についての制度ですが、だからといって賃貸暮らしに無関係というわけではありません。
賃貸契約の多くでは、入居時に家財保険と借家人賠償責任保険をセットにした火災保険への加入が条件になっています。
建物側の変化は家賃や管理費に間接的に響く場合がある
家財保険は、水害や火事などで自分の家具や家電が被害を受けたときの補償です。
借家人賠償責任保険は、借りている部屋を誤って傷つけてしまった場合に、大家さんへの賠償責任をカバーするための補償にあたります。
家財保険の水災リスクの反映方法は保険会社によって異なり、地域ごとの料率を設けている商品もあれば、そうでない商品もあるとされています。
契約更新の案内に記載されている保険料が以前と比べて変わっていた場合は、何が理由で変わったのかを保険会社に確認しておくと状況を把握しやすくなります。
また、建物側の水災料率が上がれば、大家さんが負担する保険料も変わるため、管理費や家賃の見直しの背景として間接的に関わってくる場合もあります。
1分でできる保険料払いすぎ度診断で、今の負担感を確認してみるのもひとつの方法です。
自分の等地を確認する方法
実際の当てはめ方は保険会社に確認する
自分が住んでいる、またはこれから住もうとしている地域の等地は、損害保険料率算出機構の公式サイトにある水災等地検索のページで調べることができます。
住所を入力すると、その地域が1等地から5等地のどこに当たるかが表示される仕組みです。
ここで確認できるのは住宅物件のうち建物についての等地のため、実際に契約する保険商品への当てはめ方は、保険会社によって異なる場合があります。
契約や見積もりの詳しい内容を知りたいときは、この検索結果を参考にしたうえで、契約している保険会社や代理店に問い合わせるとより確実です。
見積もりを取る段階であれば、見積もり書に等地の区分や水災料率の内訳が記載されることもあります。
等地の区分だけで水災リスクの高さを判断せず、自治体が公表しているハザードマップとあわせて確認しておくと、より実態に近い情報が得られます。
浸水想定区域や土砂災害警戒区域に入っているかどうかは、等地の区分とは別に、自治体のホームページで確認できることが多くなっています。
賃貸で新しく物件を探している段階であれば、契約前にこうした情報を確認しておくと、入居後に保険料や災害リスクの想定外の高さに気づくことを避けやすくなります。
複数の保険会社から見積もりを取ると、同じ物件でも会社ごとに付加保険料率の設定が異なるため、水災補償を含めた総額に差が出ることがあります。
どの会社を選ぶかは個々の判断になりますが、比較する際は補償内容が同じ条件になっているかをあわせて確認すると、金額だけを見て判断するより実態に近い比較ができます。
更新のタイミングで確認したいポイント
次に火災保険を更新するタイミングで、確認しておきたいポイントを整理します。
1つ目は、現在の保険証券に記載されている補償内容と保険料です。
水災補償の有無や、家財保険の補償額が今の暮らしに見合っているかを見直す機会になります。
2つ目は、更新時の保険料が前回契約時からどれだけ変わっているかです。
変動が大きい場合は、その理由が水災料率の細分化によるものなのか、ほかの要因によるものなのかを保険会社に確認すると状況が整理しやすくなります。
3つ目は、住んでいる地域の水災リスクそのものです。
ハザードマップで浸水想定区域に該当する場合は、水災補償を外さずに継続するかどうかを慎重に検討したほうがよいケースもあります。
4つ目は、賃貸借契約の更新と火災保険の契約期間がずれていないかです。
火災保険は2年契約が多く、賃貸借契約の更新時期とタイミングが重なることも、ずれることもあります。
どちらの更新が先に来るのかを把握しておくと、見直しの計画を立てやすくなります。
5つ目は、過去に水災による保険金請求をしたことがあるかどうかです。
請求の履歴がある場合、更新時の条件に影響することがあるため、事前に保険会社へ確認しておくと更新後の内容を把握しやすくなります。
契約内容の解釈や補償の要否について迷う場合は、自己判断で進めず、契約している保険会社や代理店、必要に応じて専門家に相談しながら確認することをおすすめします。
まとめ
水災料率は、2023年6月に損害保険料率算出機構が届け出た参考純率改定にもとづき、建物について市区町村ごとに1等地から5等地までの5区分に分かれています。
1等地は約6%低く、5等地は約9%高い水準とされ、較差は約1.2倍という整理です。
多くの保険会社で2024年10月以降の契約から順次反映されており、賃貸の家財保険についても、水災リスクの反映方法が保険会社によって変わってきています。
自分の地域の等地は損害保険料率算出機構の水災等地検索で確認できるため、更新のタイミングで一度、保険証券の中身とあわせて確認しておくと安心です。