火災保険には、何年間その内容で契約するかという「契約期間」という考え方があります。

現在、この契約期間は最長5年までしか選べない仕組みになっています。

かつては最長10年の契約もありましたが、短縮されたのはそう遠くない時期のことです。

賃貸で家財保険や借家人賠償責任保険に入っている人にとっても、無関係な話ではありません。

この記事では、契約期間が短くなった背景と、賃貸で長期契約を選ぶときに確認しておきたい注意点を整理します。

火災保険の契約期間はなぜ最長5年なのか

火災保険の保険料を決める土台になっているのが、損害保険料率算出機構が算出する「参考純率」という数字です。

この参考純率を適用できる契約期間について、損害保険料率算出機構は2021年6月、最長10年から最長5年へ短縮すると発表しました。

実際に最長5年へ変更されたのは2022年10月からです。

現在は、1年単位で最長5年までの範囲で契約期間を選ぶ形になっています。

最長10年から5年への流れ
2021年6月損害保険料率算出機構が短縮を発表
2022年10月最長5年へ変更
現在1年単位で最長5年まで選ぶ

2023年から2024年は5年契約が50.8%で最多

机上の変更に見えるかもしれませんが、実際の契約件数にもこの変化が表れています。

2023年から2024年のデータでは、5年契約が全体の50.8%を占め、最も多く選ばれる契約期間になっています。

かつて主流だった10年契約という選択肢そのものが、今はなくなっているということです。

10年から5年に短縮された背景

契約期間が短縮された理由は、保険会社にとっての「見通しの立てにくさ」にあります。

近年は台風や豪雨といった自然災害が毎年のように発生し、保険金の支払いが増える傾向にあります。

10年先までの被害の規模や頻度を見積もることが難しくなり、長期の契約で保険料をあらかじめ固定してしまうリスクが高まったといわれています。

加えて、建物を修理・再建する際の資材費や人件費の上昇も、保険会社の収支計画に影響する要因として挙げられています。

10年先が見通せなくなった理由
長期で保険料を固定するリスク
自然災害台風や豪雨が毎年のように起きる
修理費資材費と人件費の上昇
料率改定参考純率が数年おきに変わる

こうした事情から、契約期間を短くして、より実態に近い頻度で保険料を見直せるようにする方向へ業界全体が動いてきました。

参考純率そのものも数年おきに改定されており、契約期間の短縮は、その改定を反映しやすくするための仕組みの一部とも言えます。

読者の立場から見ると、契約期間が短くなったことで、以前より頻繁に更新の機会が訪れるようになったとも言えます。

更新のたびに保険料が変わる可能性がある一方で、そのたびに今の補償内容が暮らしに合っているかを見直すきっかけにもなります。

契約期間によって保険料はどう変わるか

契約期間が長いほど、1年あたりの保険料が割安になる傾向があるとされています。

一方で、長期契約はまとめて保険料を支払う分、契約時に必要なお金の総額は大きくなります。

契約期間の長短で変わること
短い契約
  • 1回の支払いは小さい
  • 見直しの機会が多い
長い契約
  • 1年あたりは割安な傾向
  • まとめて払う額が大きい

賃貸向けは2年契約で1万5千円から3万円程度が目安

賃貸向けの火災保険の場合、家財保険と借家人賠償責任保険をセットにした相場は、2年契約でおおむね1万5千円から3万円程度が目安とされることが多いようです。

ただし、この金額は家財保険の補償額や借家人賠償責任保険の限度額、部屋の広さによって変わります。

同じ契約期間でも、補償内容が違えば保険料も違ってくるため、契約書や見積もりで個別に確認する必要があります。

契約期間を延ばすかどうかを考えるときは、割安になる可能性だけでなく、まとまった支払いが発生する点もあわせて検討しておくと、あとから負担感にとまどいにくくなります。

例えば2年契約を5年契約にまとめ直す場合、単純計算では5年分の保険料をまとめて支払う形になるため、1回あたりの支払額は大きくなります。

毎年少しずつ支払う感覚でいると、契約更新のタイミングでまとまった出費が必要になる点を見落としがちです。

火災保険料をいつ、いくら準備しておく必要があるかは、他の固定費の支払いタイミングとあわせて確認しておくと、計画が立てやすくなります。

1分でできる保険料払いすぎ度診断で、今の保険料の負担感を確認してみるのもひとつの方法です。

賃貸で長期契約を選ぶときに注意したい点

賃貸で火災保険の契約期間を選ぶときは、部屋の賃貸借契約とのタイミングのずれに注意が必要です。

賃貸借契約は2年ごとに更新することが多い一方、火災保険の契約期間は1年から5年まで選べるため、両者の更新タイミングが一致しないことがあります。

2つの契約の更新がずれる
賃貸借2年ごとの更新が多い
火災保険1年から5年まで選べる
ずれると見直せない期間や途中の更新が出る
引っ越し未使用期間分が返る場合がある

火災保険だけ長期契約にしていると、賃貸借契約の更新時に火災保険の契約が残っていて、保険料の見直しができない期間が生じる場合があります。

反対に、火災保険の契約期間が先に終わる場合は、賃貸借契約の途中でも更新の手続きが必要になります。

引っ越しを予定している人にとっても、契約期間は意識しておきたい要素です。

火災保険は、契約している部屋を解約するタイミングで解約し、未使用期間分の保険料が返還される場合があります。

長期契約にしていたものの、数年以内に引っ越す可能性がある場合は、解約時の取り扱いについても事前に確認しておくと安心です。

引っ越し先でも家財保険や借家人賠償責任保険への加入が条件になっていることが多く、前の部屋の火災保険を解約して、新しい部屋で改めて契約し直す流れが一般的です。

このとき、前の契約で長期契約を選んでいて未使用期間が残っている場合は、解約返戻金の有無や金額を保険会社に確認しておくと、引っ越しにかかる費用の見通しが立てやすくなります。

更新のタイミングで確認しておきたいこと

契約期間を選ぶ、あるいは見直すタイミングで確認しておきたい点を整理します。

更新前に確かめる4つのこと
満了日保険証券で契約期間を把握する
案内範囲保険会社や管理会社が示す期間
更新時期賃貸借契約とどちらが先か
支払い長期ならまとまった額を用意できるか

1つ目は、現在の契約がいつ満了するかです。

保険証券や契約時の書類に記載されているため、まずは自分の契約期間を把握することから始めます。

2つ目は、契約している保険会社や管理会社が、どの範囲の契約期間を案内しているかです。

賃貸では、管理会社や仲介会社が指定した保険会社の商品に加入しているケースと、自分で保険会社を選んで加入しているケースの両方があります。

3つ目は、契約期間と賃貸借契約の更新時期の関係です。

どちらが先に来るのかを把握しておくと、更新や見直しの計画が立てやすくなります。

4つ目は、長期契約を選ぶ場合にまとまった保険料を準備できるかです。

割安になる可能性がある一方で、支払いのタイミングが集中する点も考えあわせておく必要があります。

これらは一般的な確認項目であり、実際にどの契約期間を選ぶかは、契約している保険会社や管理会社、必要に応じて専門家への相談を通じて判断することをおすすめします。

契約書や重要事項説明書の内容は、自己判断だけで解釈せず、不明点があれば問い合わせ先に確認する姿勢が、いざというときに困らないための備えになります。

まとめ

火災保険の契約期間は、2022年10月から最長5年までに短縮されています。

背景には、自然災害の増加で保険会社が長期の収支を見通しにくくなったという事情があります。

契約件数では5年契約が全体の50.8%を占め、今の主流になっています。

賃貸の家財保険や借家人賠償責任保険も同じ仕組みの影響を受けるため、契約期間と賃貸借契約の更新時期の関係を把握しておくことが大切です。

次の更新のタイミングで、契約期間と保険料の両方を見直し、疑問があれば保険会社や専門家に相談する習慣をつけておくと安心です。