電気とガスの補助は9月使用分まで。8月がいちばん値引きが大きい

2026年の夏、電気と都市ガスの料金には国の値引きが入っています。ただしこれは7月・8月・9月の使用分が対象で、10月以降どうなるかは決まっていません。この記事では、いま自分の家がいくら値引きを受けているのかを明細から確かめる方法と、補助が切れる前に手をつけておきたい固定費の順番を整理します。読み終えるころには、10月の請求書を見て慌てる状態から一歩抜け出せるはずです。

経済産業省は2026年6月、7月から9月までの使用分について、電気と都市ガスの料金を値引きするための特例認可と承認を公表しました。標準的な家庭で3か月合計5,000円程度の負担軽減になるとされています。金額としては大きくありませんが、猛暑で使用量が跳ね上がる時期に単価が下がるという意味では、効き方は悪くありません。

問題は、この値引きが期間限定だという点です。補助が入っている間は請求額が抑えられているので、負担が増えている実感が薄くなります。そして支援が終わったタイミングで、抑えられていたぶんが戻ってきます。

3か月の値引き単価は、月によって違います。公表されている単価は次のとおりです。

  • 電気(低圧): 7月使用分3.5円/kWh、8月使用分4.5円/kWh、9月使用分3.5円/kWh
  • 電気(高圧): 8月使用分2.3円/kWh
  • 都市ガス: 7月使用分14.0円/㎥、8月使用分18.0円/㎥、9月使用分14.0円/㎥

8月使用分だけ単価が大きく設定されているのは、猛暑で電気の使用量が跳ね上がる月だからです。単価の値引きは使った量に比例するので、たくさん使う月に単価を厚くすると、軽減額も大きくなります。

対象は電気と都市ガスです。プロパンガス(LPガス)は都市ガスとは別の枠組みで扱われるため、同じ形の値引きが入るとは限りません。自宅がどちらのガスかは、検針票の事業者名や請求書の表記で確認できます。

なお、値引きは使用分に対して適用されるため、請求月とはずれます。8月に使った電気の請求が届くのは、多くの場合9月です。9月使用分の値引きが反映されるのは10月の請求ということになります。カレンダー上の月ではなく、明細に書かれている使用期間で見るようにしてください。

自分の家がいくら値引きされているかを計算する

ここは実際に手を動かす場面です。電気の検針票、または契約先の会員ページを開いてください。

多くの契約先では、値引き額が明細の中に別の行として表示されています。まずはその行を探します。見つかったら、その金額が10月以降になくなる可能性があるお金です。

金額の表示が見当たらない場合は、使用量から計算できます。8月使用分で低圧の電気なら、次の計算です。

  • 月200kWh使用の場合: 200 × 4.5円 = 900円
  • 月300kWh使用の場合: 300 × 4.5円 = 1,350円
  • 月450kWh使用の場合: 450 × 4.5円 = 2,025円

都市ガスも同じ考え方で、8月使用分なら使用量(㎥)に18.0円を掛けます。月20㎥使うなら360円です。

仮に電気300kWh、都市ガス20㎥の家庭で3か月ぶんを足すと、電気が1,050円+1,350円+1,050円で3,450円、ガスが280円+360円+280円で920円、合計で4,370円ほどになります。夏のあいだにこれだけ抑えられていて、10月からは同じ使い方をしても抑えられない、という前提で家計を見ておくのが安全です。

この金額を出す作業には、副産物があります。自分の家が月に何kWh使っているかを把握できることです。固定費の見直しは、現状の数字を持っている人ほど早く進みます。数字を見て高いのか安いのか判断がつかない方は、1分でできる固定費の見直し診断で今の状態を整理してから続きを読んでみてください。

補助が終わっても残るもの。再エネ賦課金は毎年の話

補助は一時的ですが、電気料金にはずっと乗り続ける負担もあります。代表が再生可能エネルギー発電促進賦課金、いわゆる再エネ賦課金です。

2026年度の単価は4.18円/kWhです。2025年度は3.98円/kWh、2024年度は3.49円/kWhでしたから、2年で0.69円上がった計算になります。月300kWh使う家庭なら、2025年度は月1,194円、2026年度は月1,254円。差は月60円、年間で720円です。

一つひとつは小さな数字に見えます。ただ、こちらは補助と違って毎月かかり続け、原則として年に一度単価が見直されます。月300kWhの家庭なら年間15,000円前後を賦課金として払っている計算で、これは電気を使う限り止まりません。

つまり、いまの電気料金は「一時的に下がる要素」と「毎年積み上がる要素」が同時に動いている状態です。補助が入っている夏のあいだは前者が目立ちますが、10月以降に残るのは後者のほうです。だからこそ、補助の終了に合わせて何かを我慢するのではなく、契約そのものを点検しておくほうが筋が通っています。

手をつける順番は、効果が続くものから

固定費の見直しには順番があります。原則はひとつで、一度やれば効果が続くものから手をつけることです。

1. 契約を変えれば毎月効いてくるもの

電気やガスの契約先・料金プラン、通信費(スマホや自宅回線)、使っていないサブスクの解約。この層は、一度手続きすれば翌月以降ずっと効きます。作業時間は1件あたり30分から1時間程度で、そのあとは何もしなくても差額が残り続けます。

2. 年に1回のタイミングで見直すもの

火災保険、家賃保証料、その他の保険。これらは更新のタイミングでしか動かせないことが多いので、更新月をカレンダーに書き込んでおいて、そこで見直すのが現実的です。ただし賃貸の火災保険は管理会社との取り決めが絡む場合があるため、変更を考えるときは契約書の内容を確認し、必要なら管理会社に問い合わせてください。

3. 住まいそのもの

家賃は多くの家庭で最大の固定費です。更新のタイミングで相場と照らす、条件を変えて住み替えを検討する、といった選択肢があります。効果は最も大きいのですが、動くまでの手間と初期費用がかかるので、1と2を済ませてから考える順番になります。

4. 使い方の工夫

エアコンの設定温度、待機電力、こまめな消灯。効果はゼロではありませんが、毎日意識し続ける必要があり、続かなければ効果も消えます。1から3を先に終わらせて、それでも足りないときに検討する位置づけで構いません。

多くの人は4から始めてしまいます。すぐ着手できるからです。ただ、夏に冷房を我慢して体調を崩すのは、金額に見合いません。順番を逆にするだけで、同じ労力から得られる金額はまるで変わります。

賃貸で動かせる部分と、動かせない部分

賃貸暮らしでは、自分で変えられる範囲がはっきり分かれています。

自分で動かせるのは、入居者本人が契約している電気・ガス・通信の契約先やプランです。ここは検討の余地があります。ただし建物によっては、高圧一括受電などで電力の契約形態があらかじめ決まっている場合があります。切り替えを考える前に、賃貸借契約書と入居時の書類を確認してください。判断がつかないときは管理会社に問い合わせるのが確実です。

一方で、給湯器の効率、窓の断熱、備え付けエアコンの性能は物件側の設備です。ここが古いと、同じ生活をしていても光熱費が高く出ます。入居者の努力では埋めきれない差が出る部分で、たとえば設備の差で電気代が月2,000円違う部屋に住んでいるなら、年間で24,000円、2年住めば48,000円の差になります。設備の不具合や明らかな老朽化を感じる場合は、まず管理会社に状況を相談してください。それでも改善が見込めず、光熱費の差が毎月続くようなら、次の更新のタイミングで住み替えを含めて考える材料になります。

なお、電力やガスの切り替えを検討する際は、契約期間の縛りや解約時の手数料の有無を先に確認してください。当サイトは特定の事業者やプランをすすめる立場ではありません。条件は各社の説明を自分で読み比べ、判断に迷う場合は契約先の窓口や専門の相談先に確認することをおすすめします。

10月の請求で慌てないために、8月のうちにやること

やることは多くありません。順番に3つです。

  1. 今月の明細を開いて、値引き額を確認する。 金額が書かれていなければ、使用量に単価を掛けて概算を出す。この数字が、補助終了後に戻ってくる可能性のある金額です
  2. 明細を1枚保存しておく。 値引きが入っている月の請求額を控えておくと、10月以降に届く請求と比べたときに、何が原因で増えたのかが判断できます
  3. 効果が続くものから1件だけ着手する。 電気やガスの契約プラン、通信費、使っていないサブスクのどれか。全部やろうとすると止まるので、今週は1件で構いません

補助金は、あくまで一時的に負担をならすための仕組みです。続く前提で家計を組むと、終わったときに影響を受けます。反対に、契約を一度見直しておけば、補助が続いても続かなくても効果は残ります。

夏のあいだは請求額が抑えられていて、危機感が湧きにくい時期です。だからこそ、明細を開くなら今です。数字を1つ確かめるところから始めてみてください。